東南アジア諸国は途上国だと思っている日本人に悲報! タイが日本より豊かである事が判明

ざっくり言うと
  • タイ国内の全世帯の約35%が貯蓄額が1カ月分の生活費にも満たない状況である事が日本のニュースで公表された
  • 日本における貯金ゼロ(金融資産非保有世帯)の割合は2017年時点で36.5%であり、僅かながらタイよりも多い。貯蓄ゼロの割合で比較すると、やや強引だがタイの方が経済的に豊かだと言える。
  • 先進国という位置づけに甘んじず、タイなどの良い所を取り入れながら経済成長を図る姿勢が日本人に求められている。

 

タイの現状

 渡航する度に発展している国。それがタイです。首都のバンコクでは高層ビルが立ち並び地下鉄も整備されています。車が増えて渋滞が社会問題になっています。街中には大きなショッピングセンターが沢山あり、ルイヴィトンやシャネルなどの高級ブランドが入っています。ショッピングセンター併設のシネマのクオリティも日本と変わりません。

 国の発展に伴い国民の年収も右肩上がりです。タイ統計局のデータによると、2007年から2017年の10年間で月の平均収入が1.45倍になっています。ちなみに日本人の平均年収は1995年頃がピークで、現在までの25年間で増えるどころか減っています。平均年収がタイに抜かれるのは時間の問題です。

 こうした現状があるにも関わらず、タイを含む東南アジアをまだ途上国だと思っている日本人が多いようです。タイはリゾート地としてもかなり面白いと思うのですが、昨年に全日空がハワイ便を増便したように、まだまだ日本人の旅行先としてはハワイの方が人気のようです。
 今回の記事は「私は日本人だからタイなんかよりハワイが合っている」なんて思っている方に是非読んで頂きたい内容です。

 

タイの貯蓄ゼロ世帯は約35%

 先日個人的に衝撃的なニュースがテレ朝newsで公開されました。「新型コロナウィルスによる活動制限等の影響で生活苦に陥ったタイ人が金の販売店や質店に駆け込んでいる」という内容です。驚いたのはタイ人の貯蓄について触れられている部分です。以下、原文を引用させて頂きます。

タイの銀行の分析によりますと、タイ国内の全世帯の約35%が貯蓄額が1カ月分の生活費にも満たない状況にあるとみられ、新型コロナウイルスはタイの家計にも深刻な影響を与えています。

>ニュースはこちら

 驚いたのは「全世帯の約35%が貯蓄額が1カ月分の生活費にも満たない」という事は、タイの月平均支出の22,000バーツ(約7.3万円)(タイ統計局 2017年)も蓄えが無い世帯が全体の35%と考える事ができます。

 貯金がほとんどない世帯が35%もいる事に驚かれるかも知れませんが、実は日本より少ないんです。

 

日本の貯蓄ゼロ世帯はタイより多い!?

日本人の貯蓄に関する情報は金融広報中央委員会が毎年公開している「家計の金融行動に関する世論調査」が参考になります。これによると2017年の時点で貯蓄がゼロの世帯(金融資産非保有世帯)の比率は下記の通りです。

単身世帯:46.4%
二人以上の世帯:31.2%

 総務省統計局 (2)世帯のすがた によると2015年時点で日本の単身世帯の割合は34.6%なので、貯蓄がゼロの世帯(金融資産非保有世帯)の平均は、

46.4 * 34.6 + 31.2 * 65.4 = 36.4548

と計算し、約36.5%です。なんと貯蓄がゼロの世帯は日本の方が僅かながらタイよりも多いのです。更にタイの35%は貯蓄ゼロではなく1ヶ月の生活費に満たない金額なので、実際には日本との差がもっと大きいと思われます。

 経済的な豊かさを示す指標は様々だと思いますが、貯蓄額を経済的な豊かさを示す指標とした場合、既にタイは日本よりも経済的に豊かだという事になります。

参考に日本の金融資産非保有世帯の推移のグラフを掲載いたします。

単身世帯

※「家計の金融行動に関する世論調査」[単身世帯調査] (2017年) より

2人以上世帯

※「家計の金融行動に関する世論調査」[二人以上世帯調査] (2017年) より

 
注:2017年のデータを使った理由は下記の2点です

  • タイの月平均収入の変遷の範囲(2007〜2017)に合わせた
  • 家計の金融行動に関する世論調査の金融資産非保有世帯の比率算出方法が2018年以降で変わったため、旧算出方法に合わせた

算出方法が変わった2018年、2019年の金融資産非保有世帯の比率は下記の通りです。

単身世帯 二人以上世帯
2018年 38.6% 22.7%
2019年 38.0% 23.6%

 

まとめ

 まだまだ平均年収は日本の方が多く、貯蓄が無い世帯の割合だけでタイの方が豊かだと言うのは少し強引です。しかしタイを含む東南アジアの国々が日進月歩で発展しているのは事実です。日本の人々が日本人だからと自惚れず、東南アジアの人々に負けないという意気込みで経済活動を行えば、少なくともヨーロッパや北米くらいの経済成長は実現できるのでは無いでしょうか。

 
以下、追記。

テレビ朝日「モーニングショー」(12月16日放送)の調査でも、OECD加盟国の実質賃金の変化を見ても、1997年を100とした場合、2016年にはスウェーデン138.4、オーストラリア131.8、フランス126.4、イギリス125.3、デンマーク123.4、ドイツ116.3、アメリカ115.3とみな増加しているのに、日本だけが89.7と減っている。「どんどん貧乏になっている」というわけだ。

毎年iPhoneが高くなっているのではなく、毎年日本の所得が相対的に低くなっているだけかもしれない…

 

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