東京はロシアより寒い!? ロシア人に日本の家が寒いと言われる理由 前編

まだまだ寒い日が続いていますね。
暖房費も馬鹿にならないという事で、今回は冬の暖房に関わる話題を取り上げてみます。

さて、冬は家の中も寒くて辛いですよね。

特に一軒家で明け方に暖房を付けていないと、朝起きた時の室内温度が10度以下になる事も普通にあるみたいです。愛知県にある僕の実家もそれで、朝起きた時に部屋の温度計を見ると7度だった事があります。

昼間はポカポカして快適なのですが、陽が落ちるのに合わせて冷え込んできますよね。夜帰宅した時など、暖房が付いていない状態だと、やっぱり室温は10度程度。寒いです。。

単純な疑問として、、
日本でこんなに寒いのに、もっと寒い北欧やロシアの人は大丈夫なのかと思いませんか?

例えば、モスクワは冬の平均最低気温がマイナス10度くらいです。フィンランドのヘルシンキも同じくらい。寒い日はマイナス20度近くまで冷え込むそうです。

モスクワやヘルシンキに住んでいる人は室温が10度もあれば快適に過ごせる体質なのでしょうか? それとも家の中でもダウンコートや毛皮のコートを着ているのでしょうか?

違います。

北欧やロシアの人達は、暖かい家の中で、Tシャツや素足で暮らしているそうです。

とういう事は、相当暖房にお金をかけている事になります。エアコンをフル稼働。ストーブをバンバン焚いて…

実は現在はこれも違います。

日本の家に比べて家の保温性が ずーーっと 高いので、あまりエネルギーを使わなくても暖かい室温をキープ出来るそうです。日常生活をする上で家の保温性の差は大きく、日本に来たロシア人からすると、ロシアよりも東京での生活の方が寒いそうです。

更に、日本と冬の気温が同じくらいの地域(フランスのパリやドイツのベルリンなど)と比較しても、日本の家の方が保温性が低くて寒いそうです。

気のせいだと思い情報収集を行ったところ、実際に日本の家が寒い要因が幾つか見つかりました。そこで今回は情報収集で分かった日本の家が寒い要因について書きます。

ただし、実際に北欧やロシアに住んで比較した訳ではないので、あくまでも収集した情報を元に導いた結論であることを悪しからず…

海外に比べて日本の家が寒い4つの要因

要因 その1:日本の家に対する考え方

家に対する文化の違いとも言えます。日本は古来から「夏旨」で家を建てるのを良しとする考え方があります。つまり「夏を快適に過ごせるように家を建てましょう」という考えです。

エアコンも扇風機も、換気扇も無かった時代をイメージしてください。高温多湿な日本の夏を快適に過ごす事に知恵を絞った場合、日差しを防いで風通しを良くするのが良策と言えます。
初夏、ひんやりとした畳の上に座り、縁側から吹き込む爽やかな風を浴びながらビールを飲む。最高ですよね! 

更に、夏の前には梅雨があります。湿気は建物の木を腐らせたり、カビを発生させる原因になります。出来るだけ湿気が溜まらないようにしたい。。

だから、下の写真のように家の開口部を大きくして家の中に風が入り易いようにします。サザエさんの家を思い出してください。庭に面した側には長い縁側があり、縁側のある部分は全て解放できるようになっていますよね。縁側の外側に窓はありますが、防寒というより悪天候時に雨風を防ぐのが目的です。江戸時代以前は、窓など無く、縁側の内側に部屋との仕切りとして障子があるだけだったそうです。

歴史のある寺院など、江戸時代以前に作られた歴史的な建造物を見ると、そういうタイプが多いですよね。

結果、、
夏はエアコンが無くても、それなりに気持ちよく過ごせる。
その反面、家の開口部が大きく、それを塞ぐ扉も薄いので家の中の熱が抜けやすい。更に開口部が大きいと隙間風が入りやすく、外の冷たい冷気を家の中に入れてしまうので、冬はめちゃ寒いww

夏旨を追求するあまり冬への対策を忘れてしまったのが日本の家と言えます。

何もしなくても快適な夏がある反面、寒が日本よりずっと厳しい北欧やロシアでは、断熱を良しとして家を建てます。言うなれば「冬旨」という訳です。家の壁に30cmもある断熱材を入れるのは普通だそうで、、そもそも一軒家を建てる時の素材も、日本は木材が主流ですが、北欧やロシアはレンガが主流。レンガと断熱材で厚みを増した壁は、冷たい外気温から家の中を守ります。
窓も日本に比べると小さく、人が歩いて出入り出来る大きな引き窓は、あまり使われていないようです。

要因 その2:日本の暖房に対する考え方

海外では「家全体を温める」と言う考え方が主流なのに対して、日本には「暖をとる」という考え方が主流です。

もう少し丁寧に説明します。

例えば北欧やロシアを含むヨーロッパ、アメリカの場合、セントラルヒーティングが基本です。人がいる、いないに関わらず、全ての部屋を温めるのです。玄関も、トイレもです。
日本の場合は人がいる部屋だけを暖めます。更には、部屋すら温めずに、コタツなどで人を直接暖めるのも珍しくありません。だから、家の中の気温差が大きいです。部屋は暖かいけど廊下はめちゃ寒。トイレも寒い。湯船に入れば暖かいけど、風呂自体や脱衣所は寒い。最近ではこの”室温差”を要因とする”ヒートショック”が問題になっていますよね。

この違いから、使用する暖房器具が異なります。

北欧やロシアの場合、ボイラーで沸かしたお湯を循環させて温めるシステムが主流のようです。デロンギのオイルヒーターのような装置が各部屋の窓際に付いていて、部屋を暖めます。
対して日本の場合はエアコンやファンヒーターが主流。コタツも多くの家で大活躍していると思います。

当然、暖め方も大きく違います。

北欧やロシアの場合、家や部屋の中で一番冷える場所を温めます。玄関や窓です。
部屋の空気が冷たい窓に触れると温度が下がります。温度が下がると空気の密度が増え、重たくなり、部屋の下の方に溜まります。反対に暖房器具で暖められた空気は密度が減って軽くなり、部屋の上の方に上がります。これを対流と言います。”顔は暑いのに足は寒い”という日本の冬のあるあるを生んでいるのは、この対流です
北欧やロシアの家は、部屋の中で一番冷える窓を暖める事でこの対流を起きにくくし、頭から足元まで均一の温度で快適に暮らせるように工夫がされているのです。

日本の場合、人を直接暖めるのが基本で、窓に暖気が当たるようにエアコンやファンヒーターを使っている人はほとんど居ないでしょう。
コマーシャルを見るかぎり、最新のエアコンは人を検出して人に向けて暖気を送るような機能が充実しています。ファンヒーターやストープも、人に向けて暖かみが届くように使うのが一般的です。だから窓の近くの空気は冷たくなり、対流が起きます。対流を解消するために、冬なのに扇風機を回して部屋の空気を混ぜてあげないといけません。
コタツやストープの前から動けないといった冬のあるある現象も、人を直接暖めるから起きることです。

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