世帯年収700万円が必要な、日本の平均レベルの暮らしとは!?
前回の記事 > あなたの家庭は共働きが必要? 平均的な生活を維持できる世帯年収は700万円から
年収700万円で平均的な暮らしとはどういう事だ!?
サラリーマンの平均年収は約420万円だから、700万円もあれば平均以上の暮らしが出来るだろう!?
と疑問に思われるかもしれません。経緯を簡単に説明します。
前回の記事で、総務省が発表している二人以上の世帯の平均消費支出(28.7万円/月 ※2015年度)を元に、平均消費支出を捻出するために必要な年収を計算しました。
28.7万円/月を単純に12倍して年間の消費支出にすると 344.4万円/年。これなら控除を考えても平均年収の420万円でまかなえそう。
しかし、平均消費支出には住宅ローンの返済や自動車購入維持費用は含まれていません。
住宅ローン返済額の平均値は約9.5万円/月。
自動車購入費用と維持費については5万円/月(自動車ローン + 税金、車検、保険料、駐車場代)と仮定すると…
消費支出平均:28.7万円/月
家賃地代の平均値:-0.9万円/月 ※持ち家だと不要なため
住宅ローン返済:9.5万円/月
自動車購入費用と維持費:5万円/月
28.7 + 9.5 + 5 – 0.9 = 42.3万円/月
42.3万円/月を年間にすると 507.6万円/年
控除を加味すると、「持ち家」と「自動車」を所有しつつ平均消費支出を捻出(トータル 507.6万円/年)するには、、つまり、日本の平均的な生活をするには、世帯年収700万円程度が必要だという結論を導きました。
詳細は前回記事で > 普通の生活をするのにダブルインカムは必要なのか?
では、そんな年収700万円で叶う「日本の平均レベルな生活」はどんな感じでしょうか??
今回は家や自動車、旅行など、所得水準との関連が深そうなモノを中心に、平均的な価格や頻度を調査し、日本の平均的な生活をシミュレーションします。
———————
こんな記事もあります。
婚活女性に人気の年収600万円独身男性 Instagramと普段のギャップ
———————
日本の平均的な生活を調査
まず、平均的な家族構成を考えます。
今回の調査は二人以上の世帯の平均消費支出を前提にしているので、まずは夫婦で暮らしている世帯を対象に考えます。国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、夫婦二人に生まれる子供の人数は平均1.96人で、約2人(2010年)です。
その為、
夫婦二人 + 子供2人 の4人家族
を平均的な家族構成とします。
家
総務省統計局のデータによると、2013年時点の持ち家世帯率は61.5%。賃貸ではなく持ち家に住むのが多数派です。
更に、若い1人暮らしの世帯で持ち家は少ないことが想像できるので、二人以上の世帯に限れば持ち家世帯率はもっと高いと思われます。
※日本の住宅・土地-平成25年住宅・土地統計調査の解説- 結果の解説
次に購入持ち家における新築と中古の比率ですが、
新築 : 中古 = 8:2
だそうです。新築が多数派です。
※引越し侍 「マイホームの購入金額は?気になる『世帯年収』ごとの平均金額も大公開!」より。
更に、戸建てとマンションの比率ですが、
戸建 : マンション = 8:2
だそうです。都心だとマンション住まいが多いイメージですが、全国的に見ると戸建てが多数派です。
※公益財団法人 生命保険文化センター「住宅の平均購入価格はいくらくらい?」より
では、戸建ての購入価格はどのくらいでしょうか。
フラット35利用者調査(2015年度)によると、土地付注文住宅は3,800万円台、建売住宅は3,300万円台です。平均は3,500万円程度と言えます。
以上から、3,500万円で購入した新築戸建ての持ち家に住むのが平均レベルの生活と言えます。
自家用車
まず、自動車を保有する世帯の割合は80.5%。自動車を保有するのが多数派です。(独身者と高齢者の保有率は低い傾向)
更に、リクルートの中古車購入実態調査(2015年)によると、クルマの所有状況において新車:中古車の比率は約7:3で、新車を買うのが多数派です。
一世帯当たりの保有台数については、自動車検査登録情報協会のデータ(2015年度)によると、平均1.064台になります。
続いて新車の平均購入価格を見ていきます。少し古いデータですが、2007年度の新車の平均購入価格は214万円です。また、新車の平均保有年数は7.5年(2015年度)です。
※2015年度乗用車市場動向調査より。
以上から、200万円代前半の新車を約7年おきに乗り換えるのが平均レベルの生活と言えます。
家族旅行
収入と関係が深そうなものに旅行が挙げられます。家族で年に何回も海外旅行に出かける家族は絶対お金持ちですよね。
ベネッセコーポレーションが1回以上家族旅行に行った小学生から中学生の保護者に調査した結果(2014年度)によると、1年間の家族旅行の頻度は
1回:60.1%
2回:22.0%
3回:10.6%
※以下略
と、1回が圧倒的に多く、2回以下が8割を占めます。そもそも1回以上家族旅行に行った家族を対象にしているので、0回があると考えると、年1回が圧倒的多数派だと言えます。正直想像していたよりも少なくて萎えました…
海外旅行ならまだしも、国内旅行も含めた調査でこの結果です。
更に、1回の旅行にかかる宿泊費・交通費を含めたトータルの金額をみると、10万円未満の家庭が6割を占めるそうです。これは1人当たりの金額ではなく家族全員での金額ですよ。。
「夢の海外旅行」という言葉がしっくり来ますね…
以上から、年1回、家族全員で10万円かからない程度の旅行に行くのが平均レベルの生活と言えます。
ちなみに、
2008年に日本旅行業協会が実施した海外旅行に関する調査(10代~30代対象)によると、1回の海外旅行にかける費用の平均は30年代男性で16万円/人、30代女性で15.2万円/人です。
外食
子供の頃、毎週末に高級レストランで食事をするお医者様の家族をテレビで見て、羨ましかった記憶があります。外食の回数も生活レベルを評価する一つの指標と言えます。
東京都の調査(2014年7月)によると、2人~7人の家庭が外食をする頻度は、
利用しない:14.8%
年に数回:31.9%
月に数回:45.8%
※以下略
と、年に数回~月に数回が大多数を占めます。間をとって毎月1回が平均と考えます。
一回の外食の費用ですが、総務省の家計調査によると、二人以上の家庭が1年間に使う外食費用は154,812円(2016年 全国平均)です。
頻度を毎月1回と考えると、一回の外食の費用は約1万3000円。4人家族だと一人3000円程度で、子供はお酒を飲まないと考えると、割と良いものが食べられそうです。
※東京都 食生活と食育に関する世論調査より
以上から、月に一回、家族で一人3000円くらいのディナーに行くのが平均レベルの生活と言えます。
子供の教育
さて、最後は子供の教育です。お金が有るほど子供に習い事をさせたり、私立学校に行かせることが出来ます。収入との相関が高い項目と言えるでしょう。
文部科学省が小中学生を対象にした調査によると、習い事の頻度は、
平日が
1回(21.8%)
2回(29.5%)
3回(26.4%)
土日が
1回(58.3%)※土日どちらか
2回(24.7%)※土日両方
となっており、平日2回、土日1回の計3回が平均的な頻度です。
続いて学校の教育費です。
文部科学省の「子供の学習費調査 (2014年度)」によると、小学校、中学校、高校で私立に通う割合は以下の通り。
小学校(私立):1.2%
中学校(私立):7.0%
高校(私立):32%
全国的には高校まで公立に通うのが多数派のようです。周りには中学から私立の知り合いが何人もいますが、みんな家が裕福ですね。
大学・短大への進学率は56.8%(2016年度/現役・浪人)で、過去最高です。大学・短大への進学が多数派です。
ただし、大学・短大では公立と私立の割合が逆転します。
文部科学省の報告によると、私立大学に在籍する学生の割合は76.7%、私立短大は93.4%です。私立に通うのが多数派です。
ちなみに小中高で、公立と私立で年間にかかる費用(授業料に加え、修学旅行代や通学費用を加算)はこのくらい違います。
公立 私立
小学校 59,228円 885,639円
中学校 128,964円 1,022,397円
高校(全日制)242,692円 740,144円
以上から、小中学生の時の習い事は週3つ、小学校から高校まで公立に通い、大学は私立に進学。が平均レベルの生活と言えます。
以上の結果を元に、日本の平均レベルの生活を具体的に紹介していきます。
日本の平均レベルの生活はこんな感じ
家は国分寺駅 徒歩15分の4LDK 122㎡
まず、家は新築戸建ての持ち家が多数派でした。そして土地も含めた購入費用の平均は約3,500万円。更に、2008年のデータによると、戸建て持ち家の平均的な広さは122㎡でした。
この条件に合う家をJR中央線沿線で新宿駅に近い方から探すと、国分寺辺りで該当する物件が見つかりました。
駅からの距離は徒歩10分~20分の物件が多いです。
※suumoで検索
国分寺駅から都心までの通勤時間を調べてみました。
・新宿 21分(特別快速利用)
・品川 45分~50分(特別快速利用)
・大手町 40分(特別快速利用)
駅まで徒歩15分、電車の待ち時間が5分、会社最寄駅から会社まで徒歩5分として、
・新宿勤務 46分
・品川勤務 1時間10分
・大手町勤務 1時間5分
となります。
不動産情報サービスのアットホームが実施した―「通勤」の実態調査 2014年によると、通勤時間の平均は58分。過半数が1時間以上かかるという結果になりました。
※5年以内に住宅購入した、都内勤務の子持ちサラリーマンが対象。
それと比較すると、通勤時間も概ね平均程度であると言えます。
自家用車は新車のトヨタ シエンタ
新車の平均購入価格は214万円でした。シエンタの新車価格は169万円~263.3万円で、平均購入価格にマッチします。
スライドドアが付いたミニバンでありながら、小型で取り回し易く、ファミリー層から厚い支持を得ています。なんと納車まで6カ月待ちという噂も…
家族旅行は年に一回、熱海の「星野リゾート リゾナーレ熱海」に宿泊
年に一度の家族旅行にかかる費用の平均は、家族全員で約10万円でした。4人家族を想定しているので、一人あたり約25,000円となります。
熱海にある「星野リゾート リゾナーレ熱海」は早割りで2名で3万円くらいから予約できます。関東在住であれば、それに交通費や現地での観光費用、お土産代なども加味すると、だいたい4人で10万円に収まるのではないでしょうか。
「星野リゾート リゾナーレ熱海」熱海を一望できる高台にあり、見晴らし最高! お部屋も広くてお洒落な部屋が揃っているそうです。正直、私も行きたいです。。
※星野リゾート リゾナーレ熱海
月に一度の外食は、牛角で焼き肉
家族で外食をする頻度を月一回とした場合、一回の外食の費用は約1万3000円。4人家族だと一人3000円程度でした。
このくらい予算が確保できれば、割と豪華な食事ができそうです。せっかく家族で外食をするのなら、焼き肉はいかがでしょう!? しかも育ち盛りの子供たちにお腹いっぱいお肉を食べさせたいとなれば、食べ放題がおススメです。
大手焼き肉レストラン「牛角」なら、2,980/人(大人)から食べ放題が設定できます。子供はドリンクバー、大人は少しお酒を飲んだとしても、4人家族であれば、だいたい1万3000円に収まるのではないでしょうか。
中学生までは習い事は週に3つまで。高校生まで公立で大学から私立。
続いて子供の教育です。
小中学生の習い事の数は平日と休日合わせて平均約3つでした。
お勉強重視であれば週3で日能研。
芸術やスポーツなどマルチに才のある子にしたければ、週1でピアノ、週2でサッカー。
女の子だったら週1でピアノ、週2でバレエなど如何でしょうか。ただしバレエは衣装代にお金がかかります。
学校については、全国的に、高校まで公立に通い、大学から私立に通うのが多数派。実は私もそうでした。。
まとめ
いかがでしたか!? 今回は世帯年収700万円で実現できる「日本の平均レベルの生活」を、家、クルマ、旅行、外食、教育の5つの軸でシミュレーションしてみました。
サラリーマンの平均年収 約420万円と比較すると、世帯年収700万円はお金持ちだと思う方が多いかもしれません。しかし実際は、高級車に乗ったり海外旅行に行ったりというお金持ちらしい生活スタイルは縁遠い、質素な生活スタイルになります。
ただ、家族の衣食住を満足させながらマイカーを持ち、年に一度とは言え有名リゾートホテルに宿泊出来たり、毎月焼き肉を食べられたり、習い事を3つも習えたりと、、派手さは無いものの堅実で文化的で豊かな生活をおくることができます。
子供の頃、私の家には車がありませんでした。だから車でキャンプに行ったり送り迎えをしてもらえる周りの子達が凄く羨ましかったです。
私はダブルインカムで都心の家に住み、輸入車を乗り回したい派ですが、、ダブルインカムはお金の余裕が生まれる代わりに子供と過ごす時間が減るの事がデメリットだと考えています。
夫婦片方の年収が700万円~800万円くらいあるのなら、思い切って片方の収入で家族を養うのも一つの考え方かもしれません。
結婚をして共働きか片方の収入で暮らすか悩んでいるカップルに、是非参考にして頂ければと思います。
<注意・免責事項>
当コンテンツは国税庁「民間給与実態統計調査結果」、総務省統計局「家計調査(家計収支編) 時系列データ(二人以上の世帯)」に基づき掲載しております。また、情報に関しましては精査をしておりますが、当サイトの情報を元に発生した諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負うものではありません。重要な判断を伴う情報の収集に関しては、必ず統計元をご確認ください。
前回の記事 > あなたの家庭は共働きが必要? 平均的な生活を維持できる世帯年収は700万円から
関連記事
・世帯年収600万円はお金持ち!? 1日に使えるお金を計算すると意外に余裕は…
・貴方は貯金がある方? 無い方? 年代、年収別に一人暮らしの貯蓄額が発表されました