年収1,000万円以上の気になる手取りを計算。税金はどのくらい??

まずこの記事を見ていただきたい。
年収でこんなに違う 所得・消費税、あなたの負担は|日本経済新聞 2016/2/23

前回、年収500万円〜年収800万円の手取りを計算した時は、考えていたよりも税金の増え方が穏やかでしたが、上記の記事を見る限り、1,000万円を超えた辺りからの所得税の増え方はエゲツない。

更に注目すべきは、所得税による税収の約50%が、年収1,000万円以上の人の納税によるもの。年収1,000万円以上の労働人口の割合はたったの4%なので、、たった4%の人たちが所得税の税収の半分を賄っている。

所得税の税収は公共サービスに当てられます。税収があるから綺麗な街、道路、自衛隊や警察による安全の維持、最先端のインフラといったサービスをタダ又は非常に安い値段で利用出来ます。

世の中、高収入の人を卑下する人達も少なからずいますが、高収入の人達が自分の利用する公共サービス以上の費用を所得税として支払うことで、収入が少ない人も同様の公共サービスが受けられる環境を維持できています。

前置きはこのくらいにしておき、これだけ負担が大きいのなら年収1,000万円以上の人の控除額はエゲツないに違いない!
年収500万円〜800万円の手取りを計算した前回の記事と同じ方法で、今回は年収1,000万円〜年収2,500万円の手取りを500万円刻みで計算します。

税金の増え方がエゲツない年収1,000万円超の手取り

前回と同様、厚生年金の対象になる会社員で、月給に加えて年2回の賞与(月給3ヶ月分)が貰えるとします。すると月給と賞与は下記のようになります。

年収 月給 1回の賞与
1,000万円 55.6万円 166.7
1,500万円 83.3万円 250万円
2,000万円 111.1万円 333.3万円
2,500万円 138.9万円 416.7万円

控除される社会保険料と税金を計算

額面から控除される社会保険料、所得税、住民税を計算します。

計算方法は前回の記事を参考にしてください。

社会保険料

厚生年金保険料と健康保険料で構成される社会保険料は月給を元に標準報酬月額表を使って導きます。年収1,000万円〜年収2,500万円の社会保険料は下記のようになります。

年収 社会保険料 年収に占める割合
1,000万円 1,199,065円 12.0%
1,500万円 1,425,487円 9.5%
2,000万円 1,580,083円 7.9%
2,500万円 1,758,463円 7.0%

標準報酬月額表を見て頂けば分かりますが、厚生年金保険料も健康保険料も上限値があり、1,000万円以上の所得になると上限値に達してくるため、年収が増えるほど年収に占める社会保険料の割合は低下します。ちなみに年収500万円の時の社会保険料の割合は13.4%でした。

所得税

月給、賞与の額面から社会保険料を差し引いた金額を元に、「給与所得の源泉徴収税額表(平成29年分)」「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(平成29年分)」を使って導きます。
年収1,000万円〜年収2,500万円の所得税は下記の通りです。

年収 所得税 年収に占める割合
1,000万円 856,173円 8.6%
1,500万円 2,088,120円 13.9%
2,000万円 3,779,106円 18.9%
2,500万円 5,386,638円 21.5%

所得税は社会保険料と異なり上限値はありません。更に、所得が増えるほど税率が高くなる仕組みになっています。なので一般的に高収入な年収1,000万円〜年収2,500万円の間でも、年収に占める所得税の割合が全然違います。

ちなみに年収500万円の時の所得税の割合は2.8%です。それに対して年収2,500万円の割合は約8倍の21.5%で、平均年収以上の所得税を払うことになります。

住民税

住民税は額面の給与から基礎控除や社会保険料など様々な費用を控除し、残った「課税額」に税率を掛けて導きます。所得税と異なり税率は収入に関わらず一定です。控除額が多いほど住民税は安くなりますが、上限値があるため、年収が高くなるほど額面に対する住民税の割合はアップします。

年収1,000万円〜年収2,500万円の住民税は下記の通りです。

年収 所得税 年収に占める割合
1,000万円 629,594円 6.3%
1,500万円 1,106,951円 7.4%
2,000万円 1,591,492円 8.0%
2,500万円 2,073,654円 8.3%

年収1,000万円〜年収2,500万円の手取りは??

計算した社会保険料と所得税、住民税を差し引くと、手取りは下記のようになります。

年収 控除される金額 手取り 年収に占める控除の割合
1,000万円 2,684,832円 7,315,168円 26.8%
1,500万円 4,620,558円 10,379,442円 30.8%
2,000万円 6,950,681円 13,049,319円 34.8%
2,500万円 9,218,755円 15,781,245円 36.9%

なんと、年収2,500万円だと1,000万円近いお金が控除されます。年収に占める控除の割合も約37%で、年収500万円の場合の約21%と比べると2倍近い割合です。

手取り額については、年収800万円の6,031,885円に対して年収1,500万円で10,379,442円と、年収が700万円も高いのに手取りは400万円程度しか変わりません。年収1,000万円を超えた辺りからの課税の激しさ、分かってもらえたでしょうか。

自分自身が年収1,000万円になったとしても、実際に手元に入るのは730万円程度なので、浮かれて今までより生活水準を引き上げたり、高い家や車を買ってみるのは程々にした方が良いかもしれません。

まとめ

会社の経営者など、自分の給与を自分自身で決められる立場の人には、課税額を出来るだけ減らすために自分の給与をあえて少なくする人もいます。そして自分の住宅や自動車にかかる費用、生活費の一部を会社の経費としてまかない、課税額の削減と豊かな生活が両立出来るようにします。
更に、大きな企業の経営者になれば自身の持つ株の配当だけで相当の金額になるので、給料をゼロにして課税を極限まで少なく出来ます。株の配当で得た所得にかかる税金は約20%なので、給料として得るよりも株の配当で得た方が手取りが増えます。経営者になることのメリットはここにもあります。

会社員で高給を貰っている人は経営者のような節税が出来ないので、たくさんの社会保険料や税金を支払い、残った手取りから住宅や自動車にかかる費用や生活費を全て賄わないといけません。これは例え大企業の取締役や社長でも雇われの身分であれば同じです。

はじめに、年収1,000万円以上の所得を得る4%の人々が所得税の50%を賄っていると書きましたが、まさに企業の社員として1,000万円以上の高給を得ている人達によって賄われていると言っても過言ではありません。

取締役の年収が3,000万円、社長は3,500万円などと聞くと「もらいすぎ」や「不公平」と感じる人もいるかもしれませんが、働いて稼いだ収入の40%くらいのお金を国に納め、国の財政を支えてくれている訳です。

キレイに整備された街、良好な治安など、公共サービスは税収によって賄われています。つまり、このように沢山の税金を払う人達のおかげで、日本では収入が少ない人も平等に公共サービスを受けることが出来ます。

見方を変えると大いに感謝すべきですね。

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